旅の風景 ~エピローグ~

これまで『旅の風景』の中でお届けしてきた色々な旅。それらに共通しているのは、時間に追われない、ゆったりとした旅です。
それと共に、ハプニングも楽しめる旅だと思います。
私は、修学旅行以来、団体旅行という記憶がほとんどありません。ツアーって、私の好きな旅とは対照的なイメージがあります。
旅行業者の営業努力によって、個人旅行では考えられない価格で、観光地を回ることができます。でもその一方で、宣伝広告に記載したポイントを限られた日数でクリアするために、時間にはどうしても追われてしまいます。
ツアーの添乗員さんにとっては、ハプニングは極力避けたいことでしょう。


私も自転車の旅では、“パンク”というハプニングだけは避けたいと思っていました。幸い自宅から遠く離れた場所でのパンクはありませんでした。
でも、それ以外のハプニングはその時は大変であっても、意外と楽しかったりもします。
出勤途中であれば、交通機関の遅れは遅刻につながります。でも、日常生活から離れるための旅の場であれば、一つのイベントともなります。
このままでは、予定のルートを辿るのが無理であれば他の場所を検討してみます。意外とそちらの方がいい風景に出合えたりもします。
私が列車の旅で遭遇した最大のハプニングは、台風の進路に入った時です。
列車が全て運休となり、復旧の時刻もはっきりしません。様々な連絡や乗客への対応に追われている駅員さんには申し訳ないのですが、そんな状況をどこかゲーム感覚でいる自分がいました。
この時刻までに列車が動けば、ここまで行ける。そんなことを時刻表の上でシミュレーションしていました。
結局この時は代行バスになったのですが、青春18キップでバスに乗れるということも滅多にありません。
小さなハプニングで多いのは、旅の途中で自分の気持ちが変わったり、他の旅行者から教えて頂いたことによって行き先が変更することです。
このハプニングが楽しめるのも、事前の予約や手配の必要のない旅だったからでしょう。


よく、人生そのものが旅に例えられたりします。
そして、こちらの旅にも、有名大学や一流企業などといったような“パック・ツアー”なるものもあるようです。
でも、私の場合は、ハプニングの連続によってこのツアーからはぐれてしまったみたいです。
“ピンチはチャンス”とは言いますが、こちらの旅においてハプニングを楽しめるような心には、まだまだ遠いようです。
でも、自分なりのペースで旅を続けていこうと思っています。
少しずつ変わりゆく、
“旅の風景”を、
満喫しながら…。


来週日曜日からは、新しいテーマでお届けします(^-^)
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