秘めだるまを通して ~ひらきこもりへの挑戦①~

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小倉さんとの出会い

私が大学に通っていたとき、ある飲み会がありました。
その時に「明日、秘めだるまという団体でお花見があるので、一緒に行きませんか。」と声を掛けられたのです。
もしそれが、お酒の入っていない席だったら断っていたかも知れませんが、その場の雰囲気で行くことになりました。
私は大変な難産で産まれたため、その際の影響で脳性小児麻痺となってしまいました。
でも症状は比較的軽く、学校も全て普通の学校へ通学し、大学では一人暮らしもしておりました。
その頃の気持ちには、障害者団体に対して、“傷の舐め合い”のようなイメージがありました。
私自身障害者ですが、とにかく回りに迷惑をかけないようにしないといけない。みんなについていかないといけない。健常者の中で可能な限り同じことをすることが目標のように感じてました。
そして飲み会の翌日、お花見(といっても室内での行事でしたが)に参加しました。
多くの方々とお話をしたり、歌を歌ったことを覚えています。
何より、小倉さんとお会いしてみて、そのどこから来るのか分からないパワーのようなものを感じました。
障害者だからとか、そういったこととは関係なく、もっとこの方の話を聞いてみたい、そんな思いに駆られたのです。

一千人の思い

お花見の際に購入した秘めだるまの中に、勉強会の案内がありました。
小倉さんとまたお会いしたいという思いから、とりあえず顔を出してみることにしました。
すると、その日の会合で、「国連障害者の十年」の最終年に合わせてアンケートをしようという企画が持ち上がっていたのです。
アンケートの集計は手作業ではとても大変だということになり、私もパソコンを使って集計作業を手伝わせて頂くこととなりました。
このアンケートは、健常者、障害者、障害者の保護者、合計千百枚の用紙を作成しました。秘めだるまの読者の方々を中心に配布。秘めだるま文化祭での発表、そして秘めだるま誌上での連載と二年にも及ぶ大仕事になろうとは、思ってもいませんでした。
でも、秘めだるまの存在を知ったっばかりの私でしたが、この企画に参加させて頂いて、本当に良かったと感じています。
一人分がB4用紙二枚という分量にも関わらず、みっちりと書かれたもの、用紙が足りずコピーした紙で送って下さった方々もおられました。
色々な思いのこもった記入済みの用紙が小倉さんを経由して、続々と私の元へ届けられました。
このアンケート集計作業を通して、徐々に私自身の意識も変化していきました。
当初は秘めだるまは障害者である自分だけのものと思っていましたが、徐々に周りの知人や友人などにも色々と声を掛けるようになりました。
そして、私だけでは大変な入力作業を手伝ってくれる方々も現れ、一時期はあたかも編集室の分室であるかのように、何人もの方々とアンケートの処理にあたりました。
そんな中で、親しい友人に対しても障害者ということについて話をする機会の少なかった私ですが、徐々にそういった話も増えていきました。

障害を持っているのは…

友人の協力も得て入力したアンケートは、小倉さんを初め、秘めだるまの仲間と目を通しどのようにまとめていくのかを話し合いました。
そのときに「このような見方は、こんなことにつながる」とか、アンケートの記述を読まれた方々から色々な意見が出されました。
それも私にとって、とても大きな収穫となっています。
小中学校のころはいじめにあったりもしてましたが、その原因は障害者であること。それはどうしようもないことと感じていました。
自分が努力し、少しでも周りに迷惑をかけないように頑張らないといけない。そんな思いもありました。
でもアンケートの集計を通して、秘めだるまを通して、自分と社会、障害を持っているのはどちらなんだろうという思いが芽生えてきたのです。
小倉さんがよく言われている「障害者から障害を取り除いたら障害者でなくなる。」ということ。
当時の私にとって大きな発見でした。
今、その言葉が私の中で大きく膨れつつあります。
大学卒業後、一般企業に勤めていましたが体調の悪化で現在は自宅で生活してます。
そんな中で出会った言葉“ひらきこもり”ということについて、次回お伝えしたいと思います。

(秘めだるま2011年春の号より)
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