旅の風景(3)

スローな旅の代名詞といえば、やはり青春18キップを使った鈍行列車の旅でしょう。
私も学生の頃はよく利用していました。
この切符は、5枚で11,500円(1枚あたり2300円)で、年3回長期休暇のシーズンに販売されています。1枚につき1日、普通列車と快速列車であれば、日本全国どこまででも乗車できます。改札口の出入りも何度でも可能です。
ただし、特急列車に乗るときは、特急券だけでなく乗車券から購入する必要があります。
この切符を使った旅のメリットは、なんといっても安いこと。一人旅であれば、5日間の旅の交通費が11,500円です。
そしてもう一つは、行き先を決めずに乗車できるということです。通常では、目的地までの切符を購入し、場合によっては列車も指定して特急券を用意しておきます。
18切符には日付のみしか記載されないため、目的地の変更も自由です。さらには、目的地を考えながら旅をするということができます。


高速バスの増加に伴って、随分と少なくなってしまいましたが、私が学生の頃には夜行の快速列車が日本各地に走っていました。深夜11時頃から翌朝にかけて走る列車です。
こういった列車を宿泊先とするならば、宿泊費も予約も不要です。つまり青春18キップ台+飲食費のみで旅が楽しめるのです。
(現在では残っている列車も、ほとんどが全席指定となっています。指定席でも快速列車であれば18キップ+指定券で乗車できます)
私の場合、目的地は決めずに始発の普通列車に乗り込みます。列車内で時刻表をめくり、どこへ向かうのかを決めるのです。
指定券の必要もなく、夜行列車の多かったことは、行き当たりばったりの旅が可能でした。
ちなみに、当時のダイヤで四国の松山から東京までが19時間、仙台までで30時間でした。
寝るときも含めて、1日20時間くらいは列車で過ごしました。


ただ乗っているだけの旅の何が面白いのかとよく言われます。
テレビを見る以外のことは、自分の部屋でできることは大体できます。乗りなれた路線や日の暮れた時間帯は、本を読んでもいいでしょう。流れる車窓と共にビールや、その土地の地酒を飲んでもいいでしょう。
東北地方に行くと、ホームの自動販売機にあるカップ酒が、あまりにおいしくて驚きました。
ローカル線は本数が少ないことや、長距離の乗り継ぎに適したダイヤは限られていることから、便利な列車は絞られてきます。
そういった列車内では、乗り継いだ後も同じ人がいたりします。身軽な服装などからでも18キップでの旅行者は分かります。
そんな人たちと話してみるのも楽しいです。意外な穴場を聞けたりして、そこで目的地を変更することもあります。


乗車マナーが言われている現在では考えられないことかもしれませんが、昔の東京駅には懐かしい風景がありました。
東京を23時半頃に出て大垣へと向かう列車があります。今では全席指定で運行していますが、以前はほとんどが自由席でした。
首都圏と西日本をつなぐこの列車には多くの18キップ旅行者が乗り込みます。
もし席に座ることができなかったら、徹夜で立っているか、通路で睡眠をとることになります。
発車時刻の2時間以上も前から、ホームの乗車口には列が出来ていました。大学生が多かったようです。
ホームに座り込んで、ビールなどを飲んでいました。そこには、旅行好きの者だけが集まった居酒屋のような雰囲気がありました。
私にとっても、そこで過ごす時間が楽しく、旅に出たのだなという気持ちをより強くさせてくれる空間でした。


18キップの旅、来週も続けます(^-^)

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