障害者自立支援法訴訟 終結

障害福祉サービス利用の原則1割を障害者が自己負担する「障害者自立支援法」の違憲訴訟で、和解に向けて協議していた国と原告団・弁護団は7日、同法廃止を含む基本合意文書に調印した。
厚労省は現行法の廃止に伴い、平成25年8月までに新法を制定する。原告側は訴訟を終結させることになる。

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何が問題だったのか

障害者自立支援法、名前だけを聞くと良さそうですね、期待したくなります。
でもその中身は、応益負担というものでした。障害者が福祉サービスを受ける際にその1割を自己負担するというのです。
私よりも重度な方にとっては、ヘルパーさんも24時間必要だったりします。当然収入も障害年金や生活保護に限られている中、これは本当に死活問題だったのです。
実は私自身も、この法律の矛盾に直面したことがあります。
会社勤務が不可能と言われて、作業所も視野に入れて色々と情報を集めていました。すると、障害者センターや病院の相談員の方々は「作業所は止めておいた方がいい」と言われます。
これは、賃金が低いというばかりではありません。作業所に通う=福祉サービスの利用となり、なんと利用料金が発生するのです。
平成19年度の資料ですが、厚生労働省の発表によると、作業所賃金の全国平均は1ヶ月1万2600円。そこから利用料金が発生し、場合によっては赤字になるのです。
一方、失業した方を対象とした職業訓練が全国各地で行なわれています。
高知市内にも専用の施設(学校)があって、PCのスキルを身につけたり、様々な資格を取得することもできます。
こちらは受講料無料、利用料金もかかりません。そればかりか、受講中は失業保険の受給期間が延長され、お金をもらいながら勉強ができるのです。
作業所は仕事としていくところ、職業訓練は学校。
なのにこの違いは何でしょう・・・。

応益負担という前に

法律の名前に対する期待は、自立支援。
例えば作業所でも、最低賃金が保障されること。障害者の一般企業への採用率が上がること。作業所へも通えない重度の障害者に対して、きちんとした保障がされること。
そういったこと全てが実現した上で、映画にちょっと行きたいのでヘルパーさんに・・・、というなら応益負担という考えも分からなくはありません。
現状を見渡したとき、整備されなければいけない面が多い中で、所得に関係なく一割負担。
果たしてこれは応益負担でしょうか?
厚労省に「障がい者制度改革推進本部」が設置されるそうですが、今後の動きを注意深く見ていきたいと思います。

本当の自立支援とは

ビッグバンなどに関して新しい宇宙論を展開したホーキング博士。
昔『ホーキング宇宙を語る』は日本でもベストセラーになりました。
私は、博士の功績に驚くと同時に、それを可能とした環境に羨望を感じました。
難病でありながらも大学で講義ができるのは、自動音声装置、資料をめくる装置といった機器のみならず、あらゆる面でのサポートがあったからだと思います。
どなただったか、うろ覚えなので名前は書きませんが、かつてのアメリカ大統領は次のように言ってます。

障害者に生活の保障をするよりも、障害者が働けるように社会整備に投資していく方が、財政的にも負担は少ない。

もう20年も前のことですが、アメリカのリハビリテーション法では、PCに関しても様々な規定を設けています。
これは、視覚障害者や聴覚障害者、手の不自由な方などが使う際に必要となる機能や基準を定めているのです。しかも公官庁に納入するコンピュータ及びソフトウェアはこれに準じていなければならないとされています。
日本ではどうかというと、これに触発されて「情報機器アクセシビリティ指針」というものが作成されました。
ところがこれは指針であって、拘束力は何もありません。
じれったい思いでいると、Windows95、Windows98の登場によって、国内でもWindows対応のソフトが主流となりました。
Windowsはアメリカ生まれ、障害者への対応も組み込まれているのです。コントロールパネルの中に「ユーザ補助」というものがありますが、これがそうです。
結果良しとしましょうか(苦笑)
誰だっていつ病気や事故によって障害を負うかは分かりません。何より年を重ねるごとに身体機能は衰えてくるものです。
自分がどういう状況になっていても安心できる社会、自立していられる社会、それが障害者政策ではないでしょうか。
本当の意味での障害者自立支援法の成立を、心から祈っています。

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