メロディの奥にあるもの ~音楽の風景(5)~

今日紹介する曲は、バッハの管弦楽組曲第3番より第2曲、「アリア」です。
通称、『G線上のアリア』と呼ばれています。この名前の由来は、原曲のニ長調からハ長調に移調させたとき、この曲がヴァイオリンのG線という弦のみで演奏可能なことから来ています。
皆さんも、きっとどこかで耳にしたことがある曲です。


私も昔、この曲をピアノで弾いていた頃がありました。
もともとは、管弦楽のアンサンブルですが、様々なバリエーションにアレンジされています。私が使った楽譜は、ピアノ独奏用に易しくアレンジされたものです。
弾いてみて、簡単だけど難しかったです。
とりあえず弾けるようにはなるのだけど、そこからが難しかったのです。
あまりに美しいメロディー・ライン。それに、どう表情をつけていくかが、とても大変でした。
ついつい感情が入り過ぎてしまうと、その後の収集が付かなくなってしまいます。
どれだけ練習しても、納得のいく弾き方が見つからない。私にとっては、そんな曲でした。


この曲を練習しながら、ふと思ったことがあります。
それは、バッハ自身は音楽に専念していたようですが、それまでの時代では、音楽家というのは宗教家でもあったのです。
教会の牧師さんが、ミサのために曲を書いていました。
ですから、バッハにも多くのミサ曲や、新約聖書のマタイ伝に曲をつけた『マタイ受難曲』といった曲があります。
宗教家であるということを考えたとき、神様を前にして、色々な方の悩み、苦悩と正面から対峙していきます。
そのような経験を通して、人の弱さや美しさ、そんなものが見えてくると思います。
だからこそ、これほど美しいメロディが生まれたのではないでしょうか。
バッハに関して、それほど深くは本を読んでいないので、これは私の思い込みかもしれません。
でもこの曲と接するにつれて、ただ単にバッハという音楽家の才能だけで生まれた曲ではない、そんな思いが強くなってくるのです。

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